日本でも屈指の老舗証券会社として有名な野村證券。株式投資で良く名前を聞く証券会社ですが、FXサービスも提供しています。
総合証券として最大手クラスの野村證券のFX(ノムラFX)は手数料が無料だったり独自のアラートツールが使えたりと、様々な特徴を持っています。
本記事では野村證券のFX(ノムラFX)について、サービスの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
目次
野村證券のFX(ノムラFX)とは
ノムラFXは、大手証券会社である野村證券が提供するFXサービスです。株式、投資信託、債券などさまざまな金融商品のほか、住宅ローンや保険まで手がける大手の証券会社である野村證券、一度は名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
野村證券は1925年に設立され、日本はもとよりアジアを代表する金融会社として知られています。
野村證券のFX(ノムラFX)の特徴・基本情報
手数料
野村證券ではFX口座を開設するにも維持するにも手数料は不要です。銀行とFX口座のあいだでお金を入金・出金する手続きにも手数料がかかりません。
FX取引を行う際の取引手数料も無料ですが、後述する買値と売値の差額(スプレッド)が実質的な取引コストとして徴収されます。
取引通貨ペア
野村證券のFXで取引可能な通貨ペアは以下の12種類です。
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20~30の通貨ペアを扱うFX会社が多数あることを考えると、野村證券のFX(ノムラFX)で取引できる通貨ペアは決して多いとは言えないでしょう。
基本となる通貨ペアに集中して取引したい方に向いています。
最低取引単位は通貨ペアごとに以下のとおりです。
通貨ペア | 最低取引単位 |
米ドル/円(USD/JPY)※ ユーロ/円(EUR/JPY)※ 英ポンド/円(GBP/JPY)※ 豪ドル/円(AUD/JPY)※ ニュージーランドドル/円(NZD/JPY) スイスフラン/円(CHF/JPY) カナダドル/円(CAD/JPY) | 1万通貨 |
ユーロ/米ドル(EUR/USD) 英ポンド/米ドル(GBP/USD) 豪ドル/米ドル(AUD/USD) | 1万通貨 |
香港ドル/円(HKD/JPY) 南アフリカランド/円(ZAR/JPY) | 10万通貨 |
※:1,000通貨単位のミニ取引に対応
スプレッド・スワップポイント
野村證券のFX(ノムラFX)で公表されているスプレッドは、主要な5つの通貨ペアのみです。
通貨ペア | 売値-買値(2022年3月15日現在) | スプレッド |
米ドル/円 | 118.369-118.387 | 1.8銭 |
ユーロ/円 | 129.957-129.996 | 3.9銭 |
英ポンド/円 | 154.423-154.482 | 5.9銭 |
豪ドル/円 | 85.005-85.044 | 3.9銭 |
ユーロ/米ドル | 1.09783-1.09812 | 2.9pips(※) |
※pips:外貨での取引単位。「1pips=0.01円/0.0001ドル
スプレッドは原則固定ではなく毎日の取引内容で変動するため、取引コストは常に注視する必要があります。
その他のスプレッドに関しては、原則として非公開です。確認するには野村證券のFX(ノムラFX)で口座を開設して実際に取引をしないといけません。
レバレッジ
ノムラFXで設定できるレバレッジは最大で25倍です。1米ドル100円で1,000通貨分を買うなら通常は10万円分の資金が必要ですが、最大までレバレッジを利かせれば4,000円で取引を始められます。
証拠金維持率とロスカットルール
必要証拠金額に対する現在の証拠金額の割合を証拠金維持率といい、ロスカットの判定基準になります。
ノムラFXは証拠金維持率が100%を下回ると自動的に反対売買を行うことで損失を確定させ、損失拡大の防止を行います。
具体的には証拠金維持率が一定水準を下回るごとに「プレアラート」「アラート」と警告が進み、最後はロスカットが行われます。
プレアラート | 証拠金維持率が「150%」を下回った状態 |
アラート | 証拠金維持率が「125%」を下回った状態 |
ロスカット | 証拠金維持率が「100%」を下回った状態 |
証拠金維持率が100%を下回ると強制決済で損失が確定してしまうため、「不足している証拠金以上の資金を入金」「ポジションの一部・全部を決済する」という対策が必要です。
野村證券のFX(ノムラFX)のメリット
最低取引単位が1,000通貨の通貨ペアがある
野村證券のFXは通貨ペアによって最低取引単位の設定が異なります。以下の4つの主要通貨ペアについては「ミニ取引」が可能で、1,000通貨単位で取引が行えます。
- 米ドル/円
- ユーロ/円
- 英ポンド/円
- 豪ドル/円
1米ドル100円とした場合、1,000通貨なら10万円があれば取引できます。実際には元手より少ないお金で取引できる「レバレッジ」の仕組みを活用できるので、もっと少ない資金で取引が可能です。
高機能な分析・取引ツールが使える
野村證券では外国為替市場やそれを取り巻くマクロ環境をグローバルに洞察するリサーチレポート「国際金融為替マンスリー」などの情報を利用者に公開しています。
提供される情報の質が高いことはトレードに有益です。自分でFXに関する情報をイチから調べなくても良質な情報が手に入るのは、特に初心者にとって大きなメリットといえるでしょう。
ロスカットアラートが充実
ロスカット対策が充実しているのも、ノムラFXのメリットです。証拠金維持率が150%ならプレアラート、125%になればアラートが通知されるため、100%を下回るまでに資金を入れるなどの対策が容易です。
「気付いたらロスカットになっていた……」という事態を未然に防げます。
大手総合証券会社という安心感
野村證券は言わずと知れた国内最大手クラスの証券会社です。長年にわたる営業活動の結果、多くの個人投資家の信頼を勝ち取っています。
野村證券のFXを提供する野村ホールディングスは国内でも最大手クラスの投資銀行・証券持ち株会社です。
このような長年の実績と信頼ある企業なら、安心して資金を預けられるでしょう。
野村證券のFX(ノムラFX)のデメリット
1,000通貨単位で取引できるのは4通貨ペアのみ
多くのFX会社では最低取引単位を1,000通貨単位に設定していて、どの通貨ペアでも少額での取引が可能です。
野村證券も1,000通貨単位での取引に対応したミニ取引を利用できますが、米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円の4通貨ペアに限られます。
上記4通貨ペア以外に幅広く取引したい人の場合は1万通貨または10万通貨からの取引になり、気軽に取引に参加できません。
FX初心者の方や少額での取引を希望する人は、全通貨ペアが1,000通貨単位で取引できるネット証券を探してみるのも良いでしょう。
スプレッドはネット証券と比較して広め
ノムラFXのデメリットとして、スプレッドが他社と比較して広い点が挙げられます。大手FX証券ごとに主要な通貨ペアのスプレッドをまとめた表をご覧ください。
米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | 豪ドル/円 | |
ノムラFX | 1.8銭 | 3.9銭 | 5.9銭 | 3.9銭 |
SBI FX | 0.09銭 | 0.30銭 | 0.69銭 | 0.38銭 |
みんなのFX | 0.2選 | 0.4銭 | 0.8銭 | 0.6銭 |
外為どっとコム | 0.2銭 | 0.4~0.5銭 | 0.7~1.0銭 | 0.5~0.7銭 |
DMM FX | 0.2銭 | 0.5銭 | 1.0銭 | 0.7銭 |
調査日:2022年3月15日
ネットのFX会社と比較すると、スプレッドが広い(手数料が割高)なのがデメリットです。数分単位で取引を繰り返すスキャルピングや、数時間単位で取引を行うデイトレードには向いていません。
コールセンターの受付時間が短い
FXに関する問い合わせを受け付ける専用ダイヤルの対応時間が長くありません。
受付対応時間は「土日祝日を除く平日8:40~17:10まで」となっています。平日の昼間に働く会社員の場合、ノムラFXのコールセンターで担当者に質問するのは難しいでしょう。
夜間の取引で困ったことが起こってもコールセンターにつながらないのは初心者にはデメリットです。
野村證券のFX(ノムラFX)に関するQ&A
取引のたびに取引手数料がかかりますか?
ノムラFXでは取引手数料は必要ありません。ただし、買値と売値の差額であるスプレッドが実質的に野村證券に支払う手数料として存在します。
取引時間は何時まで?
ノムラFXの取引時間は月曜日のAM7:20から土曜日のAM6:55までです。
※サマータイム適用時の夏時間では月曜日AM7:20~土曜日AM5:55
また、火曜日~金曜日のAM6:55~AM7:10(サマータイム期間はAM5:55~AM6:10)は取引できません。
デモトレードはできる?
ノムラFXにはデモトレード口座がありません。ただし、簡単な操作を確認するための「デモ取引画面」は利用できます。
口座を開設する前にデモ取引画面を触っておき、ツールの使い方を一通り理解してから本格的な取引を始めると良いでしょう。
野村證券のFXは大手の安心感と高度な分析資料が魅力
野村證券は国内でも屈指の証券会社です。
さまざまな分析レポートで情報を得ながらFX取引に参加できるのが、野村證券のFX(ノムラFX)の大きなメリットといえるでしょう。老舗の大手証券会社という安心感が得られるのも、初心者には嬉しいポイントです。
一方で「スプレッドの幅が広め」「最低取引単位が大きい」といったデメリットもあります。ノムラFXを選択する前に、メリットとデメリットを十分に理解しておきましょう。
この記事のライター・監修者