南アフリカランドってどんな推移をしてきたの?
南アフリカランドの今後の見通しはどうかな?
政策金利の推移はどうなっている?
このような疑問にお答えします。
南アフリカランドの推移は、過去30年で下落傾向だと知っていましたか?
その大きな理由は、南アフリカ経済が慢性的に不安定なのが原因です。
トレード歴10年以上の私が、南アフリカランドの取引戦略について徹底解説します。
この記事では南アフリカランドのチャート推移や政策金利の推移に加えて、南アフリカランドの特徴を紹介します。
後半では南アフリカランドの重要な取引戦略や注意点を解説しているので、最後まで読んでくださいね。
過去30年の南アフリカランドチャートの推移
南アフリカランド/円の過去30年のチャート推移は下落傾向にあり、2010年から2022年にかけてはキレイな下降トレンドを形成していました。
上の南アフリカランド/円の月足チャートにおいて、大きな下落要因は次の4つです。
- アパルトヘイト後の経済低迷
- リーマンショック
- 中国経済の低迷
- コロナショック
アパルトヘイト後の経済低迷
1970年代には500円以上を記録した南アフリカランドですが、アパルトヘイト(人種隔離政策)や高い失業率が長期化して大きく下落しました。
アパルトヘイトが廃止されるも下落は止まらず、加えてアジア通貨危機による世界的な金融危機が南アフリカにも波及し下落が続きました。
金融危機が起こるとリスクを回避したい投資家が、南アフリカのような新興国から資金を抜く動きが加速したのが原因です。
リーマンショック
2008年に発生したアメリカのリーマンショックは、南アフリカにも大きな影響を与えました。
南アフリカはリーマンショックに加えて電力不足が深刻化して、企業へ電力使用制限が課されたため自動車産業や鉱山業などの生産活動に影響が出ました。
特にアメリカ向けの輸出が不振だったので、南アフリカの自動車製造業が大幅に赤字になったんだ。
当時の南アフリカは国外と国内の両方から経済的な打撃を受けたため、南アフリカランドが10円近く下落したんです。
中国経済の低迷
続いて南アフリカランドが大きく下落したのは、2015~2016年の中国経済の低迷です。
南アフリカは中国への輸出に頼っているため、2015年からの中国経済低迷の影響を受け下落しました。
2015年中国は一人っ子政策で人口が減り、中国政府主導の経済成長が限界に近いことなどで景気が低迷したんです。
中国は南アフリカからの輸入を減らしたため、南アフリカランドは10円代後半から6円代前半まで下落しました。
コロナショック
2020年のコロナショック時には南アフリカ全土でロックダウン(都市封鎖)があり、南アフリカランド/円は5円台まで下落しました。
南アフリカのコロナ犠牲者は400万人に上り、アフリカで1番コロナショックの影響を受けた国です。
南アフリカは先進国と違って医療体制が整っていないから、感染症の影響は大きいんだ。
南アフリカランドのチャートが動いた理由をさらに深掘りするため、南アフリカの特徴を次から見ていきましょう。
南アフリカランドの特徴
南アフリカランドへ投資する前に、次の特徴は必ず把握しておきましょう。
- 世界有数の資源国
- 中国経済の影響が強い
- アメリカとの関連性
- 政策金利
世界有数の資源国
南アフリカは世界有数の資源国で、金やプラチナ、ダイヤモンド、パラジウムなどの鉱物資源に恵まれています。
また南アフリカは経済成長が期待されるBRICSの1つに上げられており、今後の発展が有力視されています。
南アフリカはアフリカ大陸で唯一のG20参加国であり、経済規模が大きいのよ。
中国経済の影響が強い
南アフリカは、中国経済の影響が大きい国です。
なぜなら、中国は南アフリカの貿易相手国の中で輸入・輸出とも第一位だからです。
南アフリカは中国の景気に左右されるため、2015年のように中国が景気後退すると南アフリカランド安につながります。
貿易相手国・輸出入比率
アメリカとの関連性
南アフリカは、アメリカ経済の良し悪しにも影響を受ける国になります。
理由は世界中に影響を与えるアメリカの景気が懸念されると、投資家はリスクを回避するために新興国から資金を引きあげるためです。
輸入・輸出の割合でもアメリカは第3位であるため、南アフリカへの影響が大きいのが分かります。
だからアメリカでリーマンショックが起きた時は、南アフリカランドが大打撃を受けたんだ。
政策金利
南アフリカは政策金利を高くしており、現在の金利は7.50%です。
インフレ率より政策金利が低いと、お金の価値が年々減っていくので「インフレ率増加 = 南アフリカランドの売り圧力増加」となります。
ただし、政策金利が高いとスワップポイントが増えるので、南アフリカランドは長期保有に向いている通貨でもあります。
南アフリカランドの政策金利推移
さらに南アフリカを詳しく知るために、政策金利の推移を確認してみよう。
2022年からの南アフリカランドの政策金利推移を次の表にまとめます。
政策金利(%) 南アフリカランド | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2024年 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.0 | |||
2023年 | 7.25 | 7.25 | 7.75 | 7.75 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 |
2022年 | 4.00 | 4.00 | 4.25 | 4.25 | 4.75 | 4.75 | 5.50 | 5.50 | 6.25 | 6.25 | 7.00 | 7.00 |
メキシコペソなどの他通貨と比べると金利の上昇幅は低いですが、10%近い高金利です。
ただし世界各国の景気が後退する局面では相対的に売られる可能性が高い通貨なので、次のようなニュースがある時は注意しましょう。
南ア中銀、利上げ停止 総裁「引き締め終了意味せず」
南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は20日の会合で、主要政策金利のレポ金利を8.25%に据え置くと決定した。据え置きは2021年11月以来初めて。ハニャホ中銀総裁は利上げ停止は引き締めサイクルの終了を意味しないと強調した。
【※Reutersより引用(2023年7月21日)】
【2024年】南アフリカランド見通し
2024年南アフリカランド/円の想定レンジは、6~8.5円と予測されます。
理由は直近3年間で高値8.5円、安値6円のレンジ相場形成しているからです。
中間付近の6.95円でも何度か反発している強い水平線が見えますが、米国や中国が景気後退すれば下回る可能性もあるでしょう。
また次のような要因にも左右されるので、投資前に確認が必要です。
- 政策金利の上昇が鈍い
- 深刻な電力不足
- 格付けの低下
政策金利の上昇が鈍い
南アフリカランドは金利の上昇幅が低く、他の高金利通貨と比較して魅力が低下しています。
政策金利が下がれば、通貨の価値は下落するのが基本的なセオリーです。
南アフリカの政策金利は、2023年5月から2024年2月まで7.50%で変わっていません。
今後の変動に備えて、次のような政策金利に関するニュースを頻繁に確認しましょう。
南ア中銀、金利据え置き 4会合連続 「ディスインフレ見られず」
南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は25日の会合で、主要政策金利のレポ金利(ZAREPO=ECI), opens new tabを8.25%に据え置くと決定した。据え置きは4会合連続。中銀は、利下げを正当化するような明確なディスインフレ傾向はまだ見られないとした。
【※Reutersより引用(2024年1月26日)】
深刻な電力不足
南アフリカは、10年以上も電力不足に悩まされています。
南ア、大規模な発電所新設必要 停電対策で政府指摘
南アフリカが十分な電力供給を確保するため、2050年までに大規模な発電所建設計画を必要としていることが4日、政府がパブリックコメント募集に伴い公表した計画案で明らかになった。
【※Reutersより引用(2024年1月5日)】
同国は10年以上も停電に悩まされている。昨年は1日で最大10時間も停電し、過去最悪の事態に見舞われた。
計画停電があれば、一般家庭だけでなく工場にも影響するため産業の発展が遅れるんです。
国内電力の約9割をまかなう、国営電力会社エスコンの経営難の動向を注視する必要があります。
格付けの低下
南アフリカランドの格付けは近年、低下傾向です。
格付け会社のフィッチは、南アフリカを「BB-」に据え置き格上げは見送られました。
格付けが低下すると南アフリカランドを売る動きが強まるので、注意が必要です。
【教えたくない】南アフリカランドの取引戦略
南アフリカランドは順張りの戦略にして、「上がるようなら買いエントリー、下がるようなら売りエントリー」で相場についていきましょう。
なぜなら前述の通りチャートが6~8.5円の幅で動く見通しであるためです。
米国の景気後退(マイナス材料)もあるので、買いエントリー時は「30銭下がったら買い増す」などして、分散して買いを入れましょう。
たとえ価格が下がったとしても、長期保有のスワップ収入狙いに切り替えることで損失を少なくし、長期的には利益を狙えます。
長期保有する時のスワップ収入を確認してみよう。
南アフリカランドを買うといくらもらえるの?
南アフリカランド/円で1万通貨を買う場合、1日17円、1年間で6,477円のスワップ収入しかもらえません。
2024年2月の政策金利は、南アフリカが7.50%で日本が-0.1%です。
円評価レートは南アフリカランド/円の7.757を使うとすると、1日のスワップ収入は次のようになります。
【計算式】
スワップポイント(円)=数量×金利(%)÷365(日)× 円評価レート
【計算例】
10,000(通貨)×(0.0825+0.0010)(金利)÷365(日)× 7.757(円評価レート)=17.7円
取引通貨量を増やせばスワップ利益も大きくなりますが、リスクも高くなるので注意しましょう。
南アフリカランド運用前の注意点
南アフリカは高金利が魅力ですが、注意点もしっかり確認してくださいね。
- 高い失業率による社会不安
- 自然災害の発生
- 新興国からの資金流出
高い失業率による社会不安
南アフリカは失業率が近年高まってきているため、注意が必要です。
南アフリカ | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年1~3月 |
---|---|---|---|---|---|---|
失業率 | 27.1% | 28.7% | 29.1% | 34.2% | 32.7% | 32.6% |
上の表を見ると2021年以降は30%以上で、2023年4~6月も次のように32.6%で高止まりしています。
南ア失業率、第1四半期は32.9%に上昇 電力危機に懸念
南アフリカ統計局が16日発表した第1・四半期の失業率は32.9%と、2022年第4・四半期の32.7%から上昇した。
【※Reutersより引用(2023年5月16日)】
高い失業率はGDPの伸びを抑制する要因の1つであるため、回復しなければ南アフリカランドの上昇は厳しいでしょう。
自然災害の発生
南アフリカは、自然災害の影響を受けやすい国です。
2020年から干ばつや水不足が発生し、その後2022年には逆に大洪水に見舞われています。
南アフリカランドは、自然災害に影響されて下落することも視野に入れましょう。
新興国からの資金流出
南アフリカを含めた新興国から、次のように資金が流出しています。
新興国から資金流出加速、銀行巡る不透明感で=IIF
外国人投資家は3月前半に新興国市場で資金の流れを反転させ、銀行セクターへのストレスを巡る不透明さを背景に資金流出ペースを早めていることが、国際金融協会(IIF)が15日公表したデータで明らかになった。
【※Reutersより引用(2023年3月16日)】
上のニュースを要約すると、世界経済が不安定な時に投資家はリスクを回避するため、新興国から資金を回収するのがセオリーなんです。
資金がなければ経済発展が遅れるため、南アフリカランドにも影響があるでしょう。
スワップ狙いにおすすめの高金利通貨!
南アフリカランド以外にも、スワップ運用におすすめの通貨があります。
- トルコリラ:政策金利45.0%
- メキシコペソ:政策金利9.50%
【※2024年9月調査】
ただし新興国は政治的・経済的に不安定なので、ファンダメンタルズ分析を実施した上で安定している通貨を選び賢くスワップ運用をしましょう。
運用する時はレバレッジを3倍程度に抑えて、急激な為替変動でロスカットされないように対策してくださいね。
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低スプレッドな上に、約定力が高くデイトレにも強いのが特徴です。
まとめ
南アフリカランドの過去30年のチャート推移や特徴に加えて、政策金利の推移、見通しを詳しく解説しました。
最後に内容のまとめです。
- 南アフリカランドの推移は過去30年で下落傾向
- 2024年南アフリカランド/円の想定レンジは6~8.5円
- 南アフリカは中国やアメリカ経済の影響を受けやすい
- 南アフリカランドの政策金利推移は上昇幅が低い
- 南アフリカランドへの投資は少額の買い増しでリスクを抑える
南アフリカランド/円は、6~8.5円を行き来する見通しです!
投資する時は「上がるようなら買いエントリー、下がるようなら売りエントリー」で相場についていきましょう。
ただし新興国通貨は政治・経済的に不安定なので、リスクを抑えながら投資してくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
FAQ
- 南アフリカランドの今後の予測は?
-
2024年南アフリカランド/円の想定レンジは6~8.5円と予想されます。
理由は、週足チャートで直近の上限と下限が6円と8.5円であるためです。
- 南アフリカランドのスワップ収入は?
-
南アフリカランド/円で1万通貨を買う場合、1日17円、1年間で6,477円のスワップ収入です。
2023年12月の政策金利は南アフリカが8.25%で日本が-0.1%であり、円評価レートは南アフリカランド/円の7.757を使って計算しています。